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高次脳機能障害と認知症の違いは?

高次脳機能障害という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?

脳の機能に障害が発生した状態であることは予想できますが、高次の脳機能とは何か、またどのような原因で障害が発生し、どのような問題が発生するか、詳細まではわかりにくいかもしれません。

そこで今回の記事では、高次脳機能障害についてご説明をします。合わせて高次脳機能障害に似ている認知機能障害や認知症などについて、その違いを中心にご説明いたします。

高次脳機能障害や認知症に悩む高齢女性

高次脳機能障害とは

まず高次脳機能とは、知覚、記憶、思考、判断などの認知、そして行動に伴う感情を含む精神機能など、人間が持つ、ある意味人間らしさに伴う機能をまとめた表現です。

そして高次脳機能障害とは、病気(脳卒中や脳炎など)や外傷性脳損傷の結果として起こる認知、行動、感情面のさまざまな問題を説明するために使われる用語です。つまり人間らしさと言っても過言はない脳の機能が、病気や怪我によって失われた状態ともいえます。

高次脳機能が障害された人は、計画、問題解決、整理、時間管理、感情のコントロールなどを行うことが難しくなります。

いくつかの機能障害を、もう少し詳しく説明します。

記憶障害

記憶障害のなかでも、特に新しいことを覚えられない、物の置き場所を忘れる、食事をしたかどうかを思い出せない、何度も同じ質問をするなどのように、最近のことが思い出せなくなる特徴があります。ただときには親しい友人の名前が思い出せない、通い慣れた道順がわからなくなるなど、昔から覚えていたことが思い出せないこともあります。

注意障害

注意が散漫になり作業に集中できなくなる人もいます。うっかりミスが増えたり、同時に複数のことをできなくなったりもします。

遂行機能障害

計画や時間管理がうまくできなくなることです。例えば、約束の時間に遅刻する、計画的に物事を進められない、締切を決められない、急な予定変更に対応できないなどがみられます。

行動障害

行動に伴う感情のコントロールがうまくできなくなると、自己中心的になる、大声で怒鳴り散らす、暴力を起こすなど、感情が発散される場合と、意欲が低下し一日中布団から出ることができないなど、ネガティブな方向へ動く場合もあります。

高次脳機能障害の影響で怒りやすくなって腕組みをする高齢者

認知機能障害と認知症との違い

認知機能とは、知識の獲得、情報の操作、推論などに関わる精神的なプロセスを指す広い言葉です。認知機能には、知覚、記憶、学習、注意、意思決定、言語能力などの領域が含まれます。

認知機能障害になると、これらの機能が障害されます。認知機能障害の原因としては、急性錯乱状態とも呼ばれる、せん妄と認知症が最も一般的です。

つまり認知症とは、進行性に認知機能が低下し、以下の認知機能に影響を与える状態になります。

・記憶
・思考
・言語
・判断力
・行動

認知症では、性格の変化を引き起こすこともあります。また認知症は、時間の経過とともに徐々に悪化することが特徴です 。

認知症とせん妄の違い

認知症とせん妄は共に認知機能障害の原因となる別々の疾患ですが、両者を区別することは難しい場合があります。どちらも認知機能が障害されますが、以下の点で区別することができます。

せん妄について

せん妄は、主に注意力が影響を受けます。また、せん妄は典型的には急性疾患または薬物中毒によって引き起こされ、多くの場合は原因が取り除かれると回復する(可逆的な)認知機能障害です。

せん妄の症状は、通常数時間から数日の間に目立つようになり、一日のなかで変動することが多く、症状が出ない期間もあります。

主な症状として、周囲に対する注意力が低下するため話題に集中したり、話題を切り替えたりすることができない、質問や会話に答えようとせずひとつの考えに固執してしまうなどがあります。また思考能力が低下するために特に最近の出来事を思い出せない、話すことや言葉を思い出すことが難しくなることもあります。症状が重くなると、幻覚がみえる、興奮して大声を出す、被害妄想が強くなる、性格が変化するなどが認められます。

認知症との違い

認知症は主に記憶に影響を与えます。典型的には脳細胞の解剖学的変化によって引き起こされ、高齢者に多く、進行性であり元に回復することはありません。症状は年単位で進行します。

なお認知症の人には、しばしばせん妄が生じます。

せん妄を起こしている高齢者を認知症と間違えてしまうことは、実際はよくあることです。両者を区別するためには、徹底した病歴聴取と身体診察、また元々の脳機能の状態を知ることが重要です。

うつ病との関係

高次機能障害とうつ病との関係について、ご説明します。

一般的に、うつ病でみられる気分の落ち込み(抑うつ症状)の程度の強さと認知能力の低下には、関係があることがわかっています。

またうつ病は、脳に明らかな損傷がない状態で抑うつ症状を認める内因性のものを意味しますが、ときに脳卒中や脳炎、また外傷性脳損傷に伴って気分が落ち込む、やる気が出ないといった抑うつ症状がみられることがあります。

これは高次機能障害の原因となる病気(脳卒中や脳炎など)や外傷性脳損傷が、特に前頭葉に生じると発生することが多いと考えられています。

まとめ

高次機能障害に関する説明を中心に、認知症、せん妄、うつ病などについてもご説明をしました。

高次機能障害は、原因や重症度によってはなかなか改善が望めないこともありますが、適切に評価を受けリハビリなどの治療を受けることで改善が期待できる場合もあります。

ご心配があれば、ぜひかかりつけ医にご相談ください。

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この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)

医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
株式会社ニューロテックメディカル 代表取締役
株式会社セルリンクス 代表取締役
医療法人交和会 理事長

学歴・職歴

平成15年3月
大阪医科大学卒業
平成15年5月
大阪医科大学附属病院にて初期研修
平成17年4月
大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
平成17年5月
大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
平成19年3月
大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
平成19年4月
大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
平成21年4月
医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
平成23年3月
大阪医科大学大学院医学研究科卒業
平成30年2月
福永記念診療所 部長に就任

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