Dr.ブログ
被殻出血とは?

被殻出血は、脳の中央・大脳の深部で生じる脳内出血(脳出血)の一つで、脳出血全体のおよそ半数をしめる疾患です。
今回のブログでは、そんな脳出血の中でも一番多い疾患である被殻出血について詳しく解説します。

被殻出血の原因

被殻出血は、大脳の深部にある被殻を通る血管であるレンズ核線条体動脈外側枝から出血することによって起こります。
被殻出血の原因の多くは、長い期間にわたって続く「高血圧」によって、被殻を通る血管が動脈硬化を起こすことが原因です。
高血圧を長年放ったままにしておくと脳の血管に圧がかかりっぱなしになり血管の壁が傷んでしまい血管壊死の状態になり、ついには破れて出血、脳の中に活液が溢れ出てしまいます。
これが被殻出血をはじめとする脳出血の原因です。
さらには、高血圧は血管を傷めるため動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患、くも膜下出血などの原因にもつながります。
高血圧は生活習慣病です。生活の乱れがそもそもの原因ということもいえます。
また高齢者に限りますが、アミロイドというタンパク質が蓄積されることが原因で脳アミロイド血管症も脳出血を引き起こす要因になります。
ちなみに、アミロイドの蓄積は脳出血に加え認知症の原因の一つに挙げられます。アミロイドの蓄積に対する治療法は残念ながら確立されていません。

被殻出血が起こる脳の部位のイラスト画像

被殻出血の症状

被殻のみで留まれば症状は軽度もしくは現れないこともありますが、出血が基底核部にまで及ぶと後遺症(症状)が現れます。

被殻出血の前兆

被殻出血をはじめとする脳出血は脳の血管が破れて起こる病気です。血管が破れてしまうまでは脳は正常な状態ですので破れそうな状態などの前兆症状などは現れません。ある日突然血管が破れてしまうのが被殻出血の恐ろしいところです。
とはいうものの、被殻出血の原因のほとんどが高血圧によるものです。血圧が高い方、頭痛や手足の痺れなどが続く方は早めの病院での診察をお勧めいたします。

被殻出血の後遺症

脳は場所によりいろいろな役割を担っています。出血の場所や出血の量によって症状はもちろんのことながら後遺症もさまざまです。
脳出血で一番多い被殻出血の場合、右脳に出血が起きた場合は左半身、左脳に出血が起きた場合は右半身に片麻痺が起こる可能性があります。また、片麻痺を起こした同じ側に感覚障害を起こす場合が多くあり、手足が痺れたり、物に触れても感覚がなかったり温度を感じないなど感覚が鈍感になることがあります。

さらには、大脳皮質など脳細胞の損傷で高次脳機能障害を引き起こし脳の機能は低下し、神経や心理学的な障害が残ることがあります。
脳出血は脳の血管が詰まる脳梗塞と同様の後遺症が残ることが多く、外見を見ただけでは判別はつけられません。
被殻出血が起こる脳の画像

高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、脳出血などによる脳細胞の損傷によって、人間の「考える」「判断する」「記憶する」といった高度な脳の機能が失われてしまうことです。

高次脳機能障害
高次脳機能障害
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症に多い、高次脳機能障害の原因や症状、治療やリハビリにつ...

失語症

被殻出血の後遺症の一つである「失語症」は、話し方がたどたどしくなってしまう運動性失語(ブローカ失語)や、相手の話の理解が困難になる感覚性失語(ウェルニッケ失語)といった症状が現れます。

感覚障害・麻痺

感覚障害とは、知覚異常や感覚の鈍麻といった感覚を司る神経の異常反応です。
具体的には、「触っている(触られている)が感覚が無い」「熱い(冷たい)ものに触れても熱さや冷たさを感じない」といった障害が現れます。

片麻痺

身体の半身に現れる麻痺・痺れの症状を「片麻痺」といいます。被殻出血は脳の左右どちらかで起こりますが、出血をした脳とは反対側の半身に麻痺・痺れの症状が起こることがあります。

歩行障害

被殻出血による歩行障害として多く現れるのは以下のような障害です。
視床出血の後遺症である歩行障害のリハビリをする高齢男性

痙性歩行(けいせいほこう)

つま先を引きずるような歩行

はさみ足歩行

両ひざをすり合わせて歩行することではさみのように見える歩行

小刻み歩行

前かがみ姿勢で非常に小さな歩幅での歩行。前方への転倒の危険性が高い

ぶん回し歩行

大きく外側に下肢をぶん回しながらの歩行

ぶんまわし歩行の原因とリハビリテーション
ぶんまわし歩行の原因とリハビリテーション
ぶん回し歩行とは、歩行時につま先が引っかかってしまうために、それを補う形で外側から足をぶん回すように...

顔面神経麻痺

被殻出血によって顔面神経経路が障害を受けることで、中枢性の顔面神経麻痺が起こることがあります。

嚥下霜害

食べ物や飲み物を飲み込もうとしても、上手く飲み込めずに気管へ入ってしまう・むせてしまうといった「嚥下障害(えんげしょうがい)」が現れることがあります。

嚥下障害のメカニズム

被殻出血によって大脳基底核部が損傷し、食べ物を飲み込む際に脳から喉に発せられる指令(信号)が上手く送ることが出来なくなることによって嚥下障害が起こります。

被殻出血の治療

出血量やその症状、治療中の容態の変化などによって薬物療法と外科手術から選択されます。
1. 降圧剤と抗浮腫剤
脳出血急性期は外科的治療の有無に関わらず、降圧剤による血圧のコントロールが基本となります。特に高血圧によって引き起こされた被殻出血であれば早急に血圧を下げてあげることが肝要です。血圧を下げることによって脳内にできる血の塊を大きくしないようにしたり、再出血を防ぐ作用があります。
また、同時に脳のむくみ(脳浮腫)によって頭蓋骨内の圧が高まり脳を圧迫し致命傷にならないように脳浮腫を改善させる薬を使用することもあります。

2. 血種除去
出血の量が多く症状が重かったり病状の進行が考えられたりした場合、脳の中に溜まった水を外に出して脳の圧を減らしたり血の塊を取り除く血種除去術を行います。
また、手術には開頭血腫除去術と定位的血腫除去術があります。
・ 開頭血腫除去術:意識障害が強く出血が多い場合に行われます。開頭といって頭の骨を外して脳を一部分切開して出血を吸引します。脳の腫れが強い時は一時的に骨を外したままにし、腫れが引いてから骨を戻します。
・ 定位的血腫溶解除去術:出血が中等度で意識障害は軽いが麻痺が強い場合に行います。まず頭蓋骨に穿頭といって小さな穴を開けます。そこに特殊な装置で出血の中心部に1mm以内の誤差でチューブを挿入し血腫を吸引する方法です。

被殻出血の予防

被殻出血の予防には大きく分けて2つあります。

1. 血圧のコントロール

被殻出血の予防法は脳出血もくも膜下出血も高血圧を防ぐこと血圧のコントロールに尽きます。大規模な調査で分かったことが、血圧が140mmHg/90mmHg以上では優位にそうでない人の群と比べて有意に脳出血が多かったという調査結果があります。
日常生活においては塩分を控える、喫煙や飲酒を控えるなど血圧が正常値内に収まるよう注意をすると共に、定期的な健康診断を受けるなどご自分の血圧を把握することが必要です。もし、高血圧であればお薬を服用し血圧のコントロールに努めてください。また、重症の意識障害をきたして運ばれる脳出血患者さんのほとんどが高血圧を放置していた方もしくは高血圧のお薬を途中でやめてしまっている人が多かったというデータもあります。

2. 検診

被殻出血などの脳出血は早期発見で予防することができます。
脳ドックで頭部のMRAを受けましょう。頭部MRAとは、磁気共鳴というブリ現象を利用し血管を立体画像として映し出す検査方法です。この検査では動脈硬化が進行し血流が細くなっている血管を見つけることで脳梗塞を早期で予防することができます。動脈瘤を発見することでくも膜下出血も早期で発見することができます。この頭部MRAの検査で異常がみつからなければ2年間は脳梗塞や脳出血を発症する可能性がかなり低いといえます。
特にくも膜下出血の早期発見には非常に有効で欠かせない検査になります。人間ドックでMRIは撮影してもMRAの検査はされないという方が多いようですが必ずMRAの検査も受けるようにしましょう。

被殻出血予防のための検診を行う女性看護師

被殻出血のリハビリテーション

なぜリハビリテーションが必要なのか。その目的についてお話しします。
脳の血管が破れることで出血し発症する脳出血と、脳の血管が詰まることで発症する脳梗塞は、相反する原因によって発生する脳血管疾患ですが、脳出血も脳梗塞も現れる症状や後遺症に大きな違いはありません。それは、脳出血も脳梗塞も原因こそ違いますが脳の細胞を壊死させることにより起こるものだからです。
リハビリテーションの目的は、脳や身体の機能を回復させる、残った機能を開発、強化することです。脳出血も脳梗塞も現れる症状は出血や梗塞が起きた部位によって異なりますが、実際は後遺症が残ること極めて多いです。そのため、身体の機能や正常な日常生活を送るための能力を取り戻すためにはリハビリテーションが何よりも重要になるのです。
脳は未だ解明されていない部分があり、まだまだ無限の可能性を秘めています。脳細胞に損傷を受けるとその部分は残念ながら治りません。ですが、脳の可能性の一つで脳内の壊れてしまった回路を迂回して新しい別のルートで回路を繋ぎ命令を伝達できるという凄い可能性が残っています。そのため、リハビリテーションは辛いですが継続して長く行い、諦めずに取り組むことが大切です。

被殻出血と視床出血の違い

被殻出血

被殻は大脳の中央部に左右一対あり、身体の運動や学習、記憶などの役割を持っています。被殻出血は脳出血の中でも頻度は最も高く脳出血の40〜50%程度を占めます。
片側麻痺の運動障害が強く出ます。高血圧を放置した方に多くみられる部位で、高血圧の方の典型的な部位ともいえます。

視床出血

視床は大脳半球と中脳の間にある間脳の左右一対あり触覚や痛覚などのさまざまな感覚を集約する役割を担っています。脳出血の30%をしめ、高齢に伴い頻度が増える部位になります。片側麻痺といった運動障害程度は軽いのですが、感覚障害が強く出ます。なかでも、耐えがたい激しい痺れや痛みを視床痛といい、この痺れや痛みには消炎鎮痛剤の効果が見られないことが多く、他に決定的な効果があるものがないのが現状です。
また、眼球が下内側を見るような位置になるのも特徴の一つです。
被殻出血と視床出血の予後についての研究結果はこちら⇒

まとめ

被殻出血とその後遺症について詳しく解説しました。被殻出血は脳出血の代表的な疾患で、原因の多くは他の脳出血と同様に高血圧に起因しています。
被殻出血によって損傷を受けた脳の神経細胞は、今までは再生をしないと考えられてきました。
しかし、近年の臨床研究において、幹細胞治療が脳の神経細胞の再生に寄与することが分かってきました。
当院では、被殻出血などの脳卒中の後遺症改善に幹細胞点滴による再生医療を行っています。
専門スタッフによるカウンセリングは無料ですので、メール・お電話でお気軽にお問合せください。

この施術ページの関連記事

  • 脳卒中について

  • 骨髄由来幹細胞点滴

    骨髄由来幹細胞点滴

  • 高次脳機能障害

この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)

医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

学歴・職歴

平成15年3月
大阪医科大学卒業
平成15年5月
大阪医科大学附属病院にて初期研修
平成17年4月
大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
平成17年5月
大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
平成19年3月
大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
平成19年4月
大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
平成21年4月
医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
平成23年3月
大阪医科大学大学院医学研究科卒業
平成30年2月
福永記念診療所 部長に就任

資格

CONTACT

再生医療の
お問い合わせ・ご予約はこちら

  • お問い合わせ

    受付時間 / 9:00-20:00【完全予約制】

  • お問い合わせ

    24時間受付!ご不明な点などお気軽に