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神経は再生するか?脳や脊髄が再生しない理由3つと幹細胞の可能性

脳や脊髄を含む『中枢神経系』は、再生能力が著しく低いことで知られています。
複数の要因が絡み合い、中枢神経系の再生を難しくしている一方、近年では新たに細胞を補充する『幹細胞治療』が発展し、中枢神経系の治療可能性が大きく広がっています。
本記事では、中枢神経系の細胞が再生しない理由と、幹細胞治療の可能性について、再生医療専門医が詳しく解説します。

脳や脊髄が再生しないと言われる理由

人の神経には脳や脊髄を含む『中枢神経系』と、それ以外の『末梢神経系』があり、末梢神経系は再生能力が高いことで知られています[1]。
しかし、中枢神経系は一度損傷を受けると瘢痕ができたり、炎症が起きたりして、再生が進まないことが多いのです[2]。
中枢神経系の再生能力が低い理由は、大きく分けて以下の3つだと言われています[1]。

1. 再生を邪魔する存在がいる
2. 再生の促進剤が足りない
3. 再生の後押しが足りない

現段階で有力とされているこれらの説について、詳しく解説していきます。

1. 再生を邪魔する存在がいる

末梢神経系の神経細胞は、損傷を受けると神経線維が再生されて回復します。
しかし、中枢神経系は一度損傷が起きると神経線維が再生されず、回復が進みません。
多くの医学者がこの原因について研究を重ねてきた結果、 中枢神経系が損傷を受けると、神経再生を阻害するタンパク質がいくつか放出されることが明らかになりました[2]。
神経再生を阻害するタンパク質はいくつか存在し、それぞれが神経細胞の受容体に結合することで、神経再生を阻害します。
これらのタンパク質が受容体に結合しなければ、中枢神経も再生されると考えられますが、実際には複数のタンパク質が複雑に絡み合っているため、完全なコントロールは難しいのが現状です。

2. 再生の促進剤が足りない

神経の再生には、再生を阻害するタンパク質だけではなく、再生を促進させるタンパク質も関わっています。
神経再生阻害タンパク質は、神経細胞の受容体に結合することでその力を発揮しますが、実は神経再生を促進させるタンパク質も同じ受容体に結合します[2]。
つまり、神経再生阻害タンパク質と神経再生促進タンパク質は、同じ席を争っているとも言えるのです。
神経再生促進タンパク質が増えれば阻害タンパク質の働きが抑制され、神経再生はスムーズになると考えられます。
しかし、実際には神経再生促進タンパク質がうまく損傷部位に届かなかったり、阻害タンパク質に邪魔されたりして、再生が促進されないのが現状です。

3. 再生の後押しが足りない

損傷を受けた神経細胞は、リハビリや電気刺激などの外部刺激によって機能が回復しやすくなることが分かっています[3]。
再生機能が乏しい中枢神経系の損傷患者さんでさえ、リハビリによってある程度機能が回復した方も少なくありません[4]。
これは、損傷した神経自体の回復のほか、損傷を受けなかった神経が失われた機能を代償する『可塑性』 によるものと考えられています。
リハビリや電気刺激といった外部刺激は、神経細胞の再生を後押しする働きがあるのです。
しかし、外部刺激による回復効果は、受傷後時間が経つにつれて急激に落ちていきます。
早期から外部刺激を試みたとしても、神経細胞の再生を阻害する因子などによって、完全には回復しないことが大半です。

神経を再生させる画期的な方法!幹細胞治療の可能性

損傷を受けた中枢神経の再生には上記3つの原因を解決する必要がありますが、これらは互いに複雑に絡み合っており、解決するのは現段階で非常に困難です。
そんな中、近年新たに4つ目のアプローチとして、幹細胞による再生医療が発展してきました。
日本でも多くの病院が取り入れ始めている幹細胞治療について、詳しく解説します。

神経再生を目指した再生医療を行う医師

神経を再生させる幹細胞治療とは?

幹細胞治療とは、これから臓器や組織になっていく幹細胞を利用して、細胞を再生していく治療法を指します。
神経細胞が再生できない原因を解決するのではなく、再生できる細胞を新たに補ってしまおうというのが幹細胞治療の考え方です。
有名なのは iPS 細胞や ES 細胞といった『万能細胞』ですが、両者には安全面・倫理面での問題が多く、臨床への普及は進んでいません。
現在一般的に病院で利用されているのは、患者さん自身から採取する『体性幹細胞』です。
患者さん自身の幹細胞なので感染リスクが少なく、倫理的にも問題なく治療を行えます。
日本でも脳卒中や脊髄損傷の患者さんが数多く利用しており、麻痺していた手足に力が入るようになったり、歩けるようになったりする効果が多数報告されています。

幹細胞治療の方法

では、幹細胞治療は実際どのように行われるのでしょうか?
幹細胞は、幹細胞が生産されている『骨髄』から採取する必要があります。
骨髄は骨の中に存在しており、通常骨盤の骨髄から採取することが多いです。
骨髄に針を刺す『骨髄穿刺』で髄液を採取し、その中から得られた幹細胞を培養・増殖させて患者さんに点滴投与します。
幹細胞の培養はある程度の時間を要する上、国内の専門施設で行われるため、幹細胞の採取から点滴投与までは1か月ほど期間が空くことが多いです。
幹細胞投与は1回で終わることはなく、1ヶ月ほど期間を空けて合計3回ほど投与します。
幹細胞治療と並行してリハビリも継続することで、最大限の効果が期待できます。
こちらでは当院が実際に行っている幹細胞治療の流れを解説していますので、さらに詳しく知りたい方は参考にされてください。

幹細胞治療を行っている病院

近年では日本でも再生医療の普及が進んでおり、再生医療を行う病院は全国各地に増えています。
厚生労働省のホームページでは、再生医療が受けられる病院一覧を公開していますので、ご興味がある方はぜひお近くの病院を探してみてください。
再生医療専門の当院は大阪府大阪市に位置しており、関西周辺にお住まいの方を中心に再生医療を提供しています。
OsakaMetro『蒲生四丁目駅』から徒歩約2分で、駐車場も完備しており、県外からお越しの方もアクセスしやすい立地です。
お電話のほか、オンラインからは24時間無料でご相談を受け付けておりますので、再生医療にご興味がある方は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

まとめ

人の神経は脳や脊髄を含む『中枢神経系』と、それ以外の『末梢神経系』に分かれており、中枢神経系は末梢神経系に比べて再生能力が低いことで知られています。
中枢神経系の再生能力が低い原因を解決するのではなく、再生できる細胞を新たに補ってしまうのが、幹細胞治療です。
近年では日本でも多くの病院が幹細胞治療を取り入れており、厚生労働省のホームページではお近くの再生医療関連病院が確認できます。
当院では大阪府大阪市で再生医療を提供していますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

参考文献
[1] 星形の細胞が神経再生を助ける|SKIP
https://saiseiiryo.jp/skip_archive/archive/paper/02/
[2] 失われた神経回路を取り戻すために|大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/researchp1.html
[3]脊髄損傷後の機能回復には自発的なリハビリが効果的
http://www.med.keio.ac.jp/gcoe-stemcell/treatise/2012/20121121_01.html
[4]交通事故で頚髄損傷 今なお重度後遺障害と闘う女性が訴える「安全運転の重要さ」
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagiharamika/20200519-00179212/

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この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)

医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

学歴・職歴

平成15年3月
大阪医科大学卒業
平成15年5月
大阪医科大学附属病院にて初期研修
平成17年4月
大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
平成17年5月
大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
平成19年3月
大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
平成19年4月
大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
平成21年4月
医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
平成23年3月
大阪医科大学大学院医学研究科卒業
平成30年2月
福永記念診療所 部長に就任

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