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サイトカインと美容医療

再生医療が注目される現在、よく耳にするのが「サイトカイン」というワードです。今回はこのサイトカインと美容医療について、ご紹介します。

サイトカインとは

私たちの体の中には、神経やいろんな臓器がありますが、それらは全て、一つ一つの細胞によって構成されています。これらの細胞は其々、増殖や分化、細胞死するのですが、それを各々が勝手に行うと、体はおかしくなってしまいますよね。そこで、その細胞一つ一つを制御するためには、お互いにコミュニケーションを取る必要があるのです。その細胞間で情報を伝達する際に働く各種タンパク質を総称してサイトカインといいます。元々、サイトカインの研究は昔から行われていました。例えば、赤血球を作り出す因子があることは20世紀初頭には認知されていましたし、皆さんも耳にするインターフェロンにしても、ウィルスの増殖を防ぐ因子として、1950年代には報告されていました。

サイトカインの研究

サイトカインの種類

サイトカインは情報伝達に関わるタンパク質と云われ、その種類は多く、分類方法もいろいろですが、ここでは構造別の分類方法でご紹介します。

クラスⅠ

造血因子やIL-2、IL-3、レプチン、成長ホルモンなどが属します。主にJAKキナーゼが受容体に集まって、STAT因子の活性化を引き起こします。既に治療薬として活用されています。
例① :EPOは赤芽球前駆細胞に働いて、赤血球を分化させて、赤血球数を増やせるので、人工透析前や腎性貧血・未熟児貧血、自己血輸血の貯血などに活用されています。
例② :G-CSFは好中球系細胞や前駆細胞に働きかけて、分化・増殖を促します。好中球は白血球に分類され、感染を防ぐので、抗ガン剤使用や骨髄移植で好中球減少症を引き起こす可能性がある場合は、このG-CSFが役立ちます。

クラスⅡ

インターフェロンやIL-10、IL-20などが属し、クラスⅠと同じくJAKキナーゼが受容体に集まって、STAT因子の活性化に寄与します。数多くあるサイトカインの中でも、最初に臨床応用で活用されたもので、B型肝炎やC型慢性肝炎、慢性骨髄性白血病などの治療薬に使われて有名になりました。
例① :インターフェロンはウィルスの感染を防いだり、レクチンの作用で動物細胞を生み出します。なかでも、インターフェロン-γ(ガンマ)は、抗ウィルス作用は弱いが、抗腫瘍作用・免疫増強作用に強く、ハンセン病に効果が認められています。

TGF

クラスⅠとクラスⅡは主に造血や免疫に作用するサイトカインですが、TGFは細胞の分化やアポトーシス(※)、細胞外マトリックスの生産などのいろんな生理活性につなげます。

※アポトーシス:細胞が自己のプログラムによって、計画的に脱落死する現象。

TGF-βやアクチビン、BMP(骨形成誘導因子)などが属しています。TGF-βシグナルが異常になると、大腸がんや膵臓がんや血管病などを引き起こすので、そのメカニズムがより明確になれば、がんや血管病の治療薬の開発が進むと期待されています。

増殖因子

増殖因子はEGFやAng、VFGF、SCFなどが属し、その多くは膜結合型チロシンキナーゼが受容体となります。血管や神経、皮膚細胞などのいろんな部分に働きかけて活性化させ、血管内皮細胞を新たに作り出すのにかかせないものとして、今、美容業界で注目されています。

TNF(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)
細胞を壊死させる働きを持つ分子で、TNFαやRANKL、Fasリガンドなどが属します。形質細胞や抗体産生による感染予防・抗腫瘍作用に働きますが。過剰に作られると、関節リウマチや糖尿病、敗血症、骨粗鬆症などの発症につながります。

ケモカイン

IL-8やMCP、MIPなどが属しますが、他のサイトカインより分子量が小さいです。50種類以上ありますが、体内で炎症を起こした部分に沢山産生され、血管からの白血球の遊走を促進します。脳梗塞や動脈硬化、アレルギー、AIDS(エイズ)などに重要な役割を果たすとされています。

Wnt

1~20までの種類があり、βカテニンを制御します。Wntの関連分子に生じた変異から腫瘍が作られるので、がん化防止の因子になるのではないかと注目されています。

美容に生かされるサイトカイン

美容上では、サイトカインの増殖因子中のEGF(上皮成長因子)が強く関連します。EGFが受容体と結合することで、上皮細胞に増殖シグナルを発し、古くなった細胞の生まれ変わりを促し、肌のターンオーバーを進めることで、古い細胞がどんどん押し出され、新しい細胞が表面化されて、生まれ変わりが完了します。
また、その他の増殖因子にも美容に嬉しい効果が期待できますので、ご紹介します。

美容効果のあるサイトカインで美肌になった美しい女性

IGF(インシュリン様成長因子)

インシュリンに似た構造及び作用を持つ増殖因子で、お肌の真皮で産生されるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といったお肌のハリや潤いに大切な成分の生成を促進してくれるため、みずみずしいふっくらとしたお肌に導く効果が期待できます。

TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)

トランスフォーミング増殖因子またはトランスフォーミング成長因子と呼ばれるTGF-βは、細胞(上皮細胞)や、血管内皮の発生や分化に寄与し、創傷治癒を促進する作用もあります。
こちらもコラーゲンやエラスチンの新生・再生に効果的ですので、内側からお肌を持ち上げ、ふっくらとした若々しいお肌に導く効果が期待できます。

臍帯幹細胞サイトカイン療法

信頼される産婦人科から集められた臍帯に含まれる幹細胞を培養し、その上清液から濃厚なサイトカインを取り出して、治療に活用します。

治療の方法

幹細胞上清液から取り出したサイトカインを点滴によって体内に摂取する方法が一般的ですが、ダーマペンや水光注射などによってお肌に導入(注入)することによるピンポイントの美容治療も行われています。

治療の効果

ハリのある肌を取り戻せる、シワや毛穴の開きの改善、シミやくすみが改善される美肌効果、アトピー性皮膚炎の症状緩和、乾燥肌の改善、赤ら顔の改善などの効果が期待できます。個人差はありますが、肌質が改善されることでモチモチ肌になり、化粧のノリが良くなる効果が実感できるでしょう。

治療の費用と保険適用

臍帯幹細胞サイトカイン点滴療法は、保険適用が無いため、概ね1回につき10万円程度で、美容クリニックなどで行われていることが多いです。
また、ダーマペンや水光注射などによるお肌への導入は、使用するサイトカインの量が少ないため、概ね5万円前後で行われています。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律

平成28年に施行されたこの法律により、これまでの曖昧だった治療提供が確立されて、きちんと施設認定されていない医療機関では再生医療が利用出来なくなりました。
これにより、再生医療に分類される「サイトカイン療法」の安全性が確立されています。

サイトカインの安全性について笑顔で説明する女性

美容以外に用いられるサイトカイン

ここまでサイトカインの分類や働き、作用や美容医療に行かされている実状についてご紹介をしてきました。
最後に、美容医療以外に用いられているサイトカイン療法についてご紹介します。
当院では、臍帯由来サイトカインを用いた「サイトカインカクテル療法」を行っています。
幹細胞点滴治療とは異なり、幹細胞自体を体内に導入するわけでは無く、幹細胞を活性化させ、細胞の再生・新生を促す作用によって、脳卒中や脊髄損傷の後遺症改善(神経再生)を目的として治療を行っています。
詳しくは「臍帯由来サイトカインカクテル療法」をご覧ください

今回は、「美容とサイトカイン」というテーマで解説を致しました。

いかがでしたか、サイトカインで若いハリのある肌を取り戻しましょう!

サイトカイン療法について詳しくはこちら⇒

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この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)

医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
株式会社ニューロテックメディカル 代表取締役
株式会社セルリンクス 代表取締役
医療法人交和会 理事長

学歴・職歴

平成15年3月
大阪医科大学卒業
平成15年5月
大阪医科大学附属病院にて初期研修
平成17年4月
大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
平成17年5月
大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
平成19年3月
大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
平成19年4月
大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
平成21年4月
医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
平成23年3月
大阪医科大学大学院医学研究科卒業
平成30年2月
福永記念診療所 部長に就任

資格

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