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脳卒中の最先端医療

何らかの原因で脳の血管が詰まったり、破れたりして脳細胞にダメージを与えてしまう脳卒中。重い後遺症が残ってしまう方もいますし、命を落とす方もいる危険な病気です。近年、後遺症を最小限に抑えるための薬や失われた機能を回復させる治療法が開発されています。

tPA静注療法

tPAは血栓を強力に溶かす薬です。1995年米国において、脳梗塞を引き起こしている血栓を溶かすためにtPAが有効であることが発表されました。

それまでの脳梗塞の治療は主に症状の悪化や再発の防止、合併症対策が行われてきました。しかし、脳梗塞発症後4.5時間以内にtPAを使えば、血栓を溶かして脳への血流を回復でき、脳のダメージを軽減できます。

tPAは血栓を構成するフィブリンを溶かすことができる成分です。これまでtPA以外にも血栓を溶かす成分が開発されていましたが、血栓を溶かす作用が十分ではありませんでした。血栓を溶かすためにそれらの成分を大量に使用すると、逆に出血するリスクが高くなってしまうというデメリットがあったのです。

tPAは脳血管にできる血栓を溶かす作用がある

tPAを使えるケース

tPAは全ての脳梗塞患者に使えるわけではなく、使用するためには条件があります。代表的な条件は以下の通りです。

・発症時間が明らかで、発症から4.5時間以内に投与できるケース
・治療前の画像検査(CTやMRI)で、脳梗塞の所見が全く認められないまたは軽微なケース
・脳梗塞の症状が重症でないケース
・症状の急速な改善がみられないケース
・過去に出血性疾患を患っていなく、血液検査で異常がみられなかったケース

tPA静注療法の問題点

脳梗塞が発症してから長い時間が経っていると、梗塞部の血管が脆くなっている可能性があります。そのときにtPAを使って血栓を溶かすと勢いよく血液が流れ込み、血管が破れて出血を引き起こす危険性があります。そのため、脳梗塞発症後4.5時間以上たってしまっているケースでは、tPA静脈療法は使えません。tPA静脈療法が利用できなく脳梗塞発症後8時間以内のケースでは、血管内治療を行っている医療機関もあります。

脳梗塞が発症してからtPA静注療法が行える時間が限られていることから、出来るだけ早く脳梗塞が発症したことに気づき、救急車を呼ぶ必要があります。アテローム血栓性脳梗塞は、前触れの発作(一過性脳虚血発作)が現れることがあります。脳梗塞の診断と治療は、早ければ早いほど重い後遺症を回避できる可能性が高くなります。軽い一過性脳虚血発作であっても、放置せずに医師に診察してもらいましょう。

※一過性脳虚血発作は、一時的に血液の流れが悪くなることで麻痺やしびれなどの症状が現れますが、1日以内に回復する発作のことです。

また、tPA静注療法を受けた全ての人が回復するわけではありません。太い血管に血栓が詰まってしまっているケースやすでに重症の方には、効果が低いという報告があります。

再生医療

脳卒中によって死んだ脳細胞は回復しないと考えられていました。しかし、一度死んでしまった脳細胞を再生させ、失われた機能を取り戻す再生医療が注目されています。
多くの医療機関で脳卒中の治療として利用されているのは、間葉系幹細胞を使った再生医療です。間葉系幹細胞は、分化できる細胞は限られていますが、さまざまな場所から採取できるうえ、安全性も高いことから再生医療での利用が増加しています。
残念なことですが現在行われている再生医療では、脳卒中によって失われた機能を元の状態に完全に戻すことができません。しかし、重い後遺症で苦しんでいる方にとって、少しでも機能が回復するのは大きなことです。
再生医療を受け始めるのが早いほどよい結果が出やすい傾向があります。そのため、治療を受けるか迷っている方は、早めに医師に相談することをおすすめします。

再生医療専門医師による再生医療相談

 

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再生医療で期待できる効果

再生医療で期待できる効果は「失われてしまった機能の改善」「リハビリテーションの効果を高める」「再発予防」です。以下でもう少し詳しくご紹介します。

失われてしまった機能の改善

脳卒中でダメージを受けた脳細胞を再生・修復することで、脳卒中を患ったことにより失われた機能の改善が期待できます。改善が期待できる具体的な症状は、運動障害や失語症・言語障害、視覚障害、痛みやしびれなどがあります。

リハビリテーションの効果を高める

再生医療と並行してリハビリテーションを行うと、失われた機能の改善効果がより一層高くなると考えられています。

再生医療とリハビリ
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再発予防

再生医療はダメージを受けた脳細胞を再生させるだけでなく、傷ついている血管を修復することで、再発予防につながると考えられています。
脳卒中は再発の危険性が高い病気です。再発すると一度目よりも重い後遺症が残りやすいため、機能回復だけではなく再発予防も行う必要があります。

再生医療の問題点

再生医療を提供するためには、厚生労働省に申請し、認定再生医療等委員会の審査が必要です。そのため、現状では再生医療を受けられる医療機関は限られています。治療を受けたい方でも通院できる場所に再生医療を受けられる医療機関がない場合は、受けることが難しいといえます。

また、現在のところ脳卒中再生医療は、医療保険の対象外となり自由治療となります。高額療養費制度や医療保険、高度先進医療保険の対象外ですが、医療費控除の対象にはなっています。そのため、再生医療は経済的余裕がある方しか受けることが難しい治療といえるかもしれません。

近い将来、再生医療の安全性や効果が認められ、保険が適用され多くの医療機関で治療を受けられるようになることが期待されています。

脳卒中の予防に努めましょう

脳卒中の治療は、日進月歩で新しい治療法が研究されています。しかし、現状ではまだ後遺症を完全に回復する治療法はありません。そのため、大きな改善がみられなくても、諦めずリハビリテーションに粘り強く取り組むことが大切です。

また、発症してから受ける治療も重要ですが、予防をして治療を受ける必要がないようにすることの方が重要です。規則正しい生活やバランスの取れた食事、適度な運動などをして、脳卒中の予防に努めましょう。

 

参考:「脳卒中治療のガイドライン」
https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2015_tuiho2019_10.pdf

「国立循環器病研究センター」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html

「医療法人 慶春会 福永記念診療所」
https://saiseiiryou.clinic/regenerative-medicine/

「厚生労働省」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html

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この施術ページの監修医師

貴宝院 永稔

貴宝院 永稔(きほういん ながとし)

医療法人慶春会 福永記念診療所 部長
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

学歴・職歴

平成15年3月
大阪医科大学卒業
平成15年5月
大阪医科大学附属病院にて初期研修
平成17年4月
大阪医科大学附属病院にて初期研修 修了
平成17年5月
大阪医科大学(リハビリテーション科)レジデント就任
平成19年3月
大阪医科大学(リハビリテーション科) 退職
平成19年4月
大阪医科大学大学院医学研究科(リハビリテーション科)入学
平成21年4月
医療法人伯鳳会 はくほう会セントラル病院 入職
平成23年3月
大阪医科大学大学院医学研究科卒業
平成30年2月
福永記念診療所 部長に就任

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